展示品解説

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戦犯刑務所で使われたタオル

このタオルはジャワの俘虜監視所に配置され、1946年の英国による戦犯裁判で懲役10年の有期刑判決を受けた金完根(1922年~2012年)さんのものである。金さんはシンガポールのチャンギー刑務所にはじまり、オートラム刑務所を経て、スガモプリズンを1952年に仮釈放された。

「L508」はオートラムでの囚人番号で、獄中でこのタオルを使用していた。金さんはほころびをなんどもつくろいながら、釈放後もこのタオルを大切に保管してきた。

日本政府は、旧軍人・軍属及びその遺族に対する補償等の諸措置を成立・実行させていったが、1952年のサンフランシスコ講和条約による日本国籍喪失を理由に、韓国・朝鮮人「戦犯」らを同措置から除外し、釈放後はまさに身一つで異国に放り出した。

援護・補償からは一切排除され、また、祖国から、そして在日同胞からも「対日協力者」「親日派」の汚名のもとに切り棄てられた元「戦犯」たちの、戦後60年もの苦悩はどれほど深いものであったろうか。

彼らは、まさに孤立無援のなか「同進会」という互助組織をつくり、日本政府に対し、謝罪と補償を求めて必死の闘いを展開してきた。